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“屋号だけの開業”で、私は本当に経営者なのか?― 感覚で立ち上げた私が言葉にしてみる、経営の話

はじめに ― 編集者である前に、「始めたばかりのひとり」として

BanSoの編集に関わっています。
でもこのコラムは、編集者としてではなく、
“名前をつけて開業したばかりの一人の人”として書こうと思います。

屋号というものをつけて、開業という形をとってから数ヶ月。
何かが大きく変わったわけでもなく、どこか「立ち上がりきらないまま」過ごしているような感覚があります。
そんな今の揺れた気持ちを言葉にすることで、同じような境遇にいる誰かとつながれたらと思い、連載を始めることにしました。

Kilig designという名前に込めた、言葉にしきれない感覚

私の屋号は「Kilig design(キリグデザイン)」。
“Kilig”はタガログ語で、お腹の中で蝶が舞うような、恋に落ちたときのような、
ちょっとくすぐったくて、うれしくて、でもはっきり言葉にできない気持ちを表す言葉です。

この言葉に出会ったとき、どこか惹かれるものがありました。
明確なコンセプトやビジネスモデルがあるわけではないけれど、
感覚や感性を大切にしながら、誰かの心にふっと触れるようなことがしたい――。
そんな気持ちに、自然と寄り添ってくれるような言葉だと感じました。

「開業したけど、経営者になった実感がない」そんな日々

そうして屋号を決め、開業届も出しました。
書類上は“個人事業主”、つまり「経営者」です。
でも実際の私は、目の前のことをこなすので精一杯。
仕事の依頼が来ればこなす。日々が流れていく。その繰り返しです。

名刺交換や社交の場は、正直とても苦手です。
「どんな仕事をしているの?」と聞かれると、うまく説明できずに戸惑ってしまう。
そもそも、“自分の仕事”って、何なんだろう――。そんな思いが、ずっと頭の片隅にありました。

「経営者」という言葉がしっくりこないまま、自分の立ち位置を見失いそうになることもあります。

「何も整っていない今」こそ、書いてみる意味があるのかもしれない

そんななか、BanSoの編集業務の一環として、実体験をもとにコラムを書くことを勧められました。
最初は「書けないな」と思いました。
まだ何も整っていないし、語れるような成功もない。そもそも、書く“ネタ”が見つからない。

でも、悩んでいたあるとき、ふと思ったのです。
「整っていないまま進んでいる今」の記録こそ、同じように迷っている人の役に立つのかもしれない、と。

自分の中で“経営”って、すごく大きなことのように思えてしまうけれど、
私のように「なんとなく始めた」「屋号だけつけた」という人も、それはそれで立派なスタート。
迷いながらでも、自分の足で立っていることには変わりないのだと思います。

この連載では、“はっきりしないまま始まった私の経営”について、
少しずつ言葉にしていこうと思っています。

たとえば、日々こんな問いが頭の中を巡っています。

「事業計画って必要?」
「自分の売上って、多いの?少ないの?」
「この働き方、このままでいいのかな?」
「やりたいことはあるけど、“事業”って言えるの?」
「SNSも営業も得意じゃない私にできることって?」

どれも、“答えが出た話”ではありません。
むしろ「まだ途中の話」を、今の自分に正直な言葉で綴っていこうと思っています。

BanSoの編集に関わる中で、自分自身の開業や経営のあり方を見つめ直す機会も増えました。
この連載では、そうした日々の気づきや視点を、使い手としての実感も交えて共有していけたらと思います。

「経営者」って名乗るのが少し怖かった私が、こうして言葉を重ねてみようと思えたように、この連載が、どこかの誰かにとっての“小さなきっかけ”になれたら嬉しいです。

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