数字の変化に“気づいた”先にあるもの
「最近、売上が落ちてきた」──グラフを見れば、“変化”に気づくことはできます。
でも、なぜそうなったのか? 何が背景にあるのか?
そこに目を向けなければ、次の打ち手にはつながりません。
Step 4:変化の“原因”を深掘りする
表面の数字を突破する“思考のデザイン”
KPIやグラフは、「何かが起きた」という変化を示してくれます。
でも──本当に知りたいのは、なぜ、それが起きたのか?
変化は“結果”にすぎません。
見るべきは、その背後にある「構造」と「原因」。
表面の数値を超えて、現場での因果関係や行動の背景に迫る力──
それが、改善につながる「解釈力」です。
数字の変化は、“結果”にすぎない
グラフに“変化”が見えても、それは“結果”でしかありません。
本当に知りたいのは「なぜその変化が起きたのか?」という原因の部分です。
以下のグラフを見てください。

「4月〜5月で来店数が大きく落ちている」ことに気づけます。
この変化の背景を考える──たとえば、天候やプロモーションの有無、近隣店舗の動きなど──ことで、次の対策が見えてきます。
【実践のヒント】「5Whys」で深掘りする
「5Whys(なぜを5回繰り返す)」は、製造業の改善手法として有名なトヨタで活用されてきた、問題の本質を探る方法です。
表面的な現象ではなく、再発を防ぐための“根本原因”にたどり着くための問いかけとして有効です。
たとえば──
Q. 来店数が減っているのはなぜ?
A. 雨の日の来店が少ないから
Q. なぜ雨の日は来店が少ないのか?
A. 雨の日に来たくなるサービスがないから
Q. なぜ雨の日に来たくなるサービスが必要なのか?
A. 平日昼の来客数の多くが主婦層であり、天候に左右されやすいから
Q. なぜ主婦層は天候で大きく行動が変わるのか?
A. 外出がしづらく、遠出を避けがちになるから
──というように、掘り下げることで、販促や商品設計のヒントが見えてくるのです。
【現場事例】“憶測”をやめて、「観察」と「対話」で深掘り
ある飲食チェーンでは、ある店舗の売上が大きく落ち込んでいました。
当初、「天気のせい」「近くのイベントの影響」といった憶測が飛び交っていました。
【観察】
来店データと時間帯をクロス分析してみたところ、
日中の売上が極端に落ちていることがわかりました。
グラフで見ると、平日11:00~14:00にかけての売上が他の時間帯と比べて著しく低く、
この時間帯に何が起きていたのかを調べる必要が出てきました。
【対話】
そこで、店舗スタッフにヒアリングを実施。
すると「この時間帯は新人スタッフが入っていて、接客に慣れておらず、
注文処理が遅れて回転率が落ちていた」ことが判明。
観察と対話による深掘りが、“本当の改善ポイント”にたどり着く鍵になります。
「観察」と「対話」の両方を重ねることで、憶測では見えてこなかった実態が明らかになりました。
このように、データと現場の声を組み合わせることが「解釈力」を育てる鍵になります。
次回予告:Step 5「データを“現場で回る仕組み”に変える」
Step 1〜4では、数字を見る → 気づく → 掘り下げるまでの「発見フェーズ」に注目してきました。
でも、それだけでは『人に依存した改善』で終わってしまいます。
次回は、発見した気づきやアクションを“回る仕組み”として定着させる方法を考えます。
現場で回り、育つ“仕組み”としてのデータ活用──それが次のステップです。
連載シリーズのご案内
- 【第1回】見えている“数字”で、本当に見えてますか?―データ活用の第一歩
- 【第2回】「結果」では遅い。変化を引き出す“改善のスイッチ”とは?
- 【第3回】グラフと比較で“気づける組織”をつくる
- 【第4回】変化の“原因”を深掘りする(※本記事)
- 【第5回】データを“現場で回る仕組み”に変える
(以降、順次公開予定)

石川久史
BanSo開発
2010年にウイングアーク1st株式会社に入社。
BIダッシュボード「MotionBoard」の保守開発に従事する傍ら、事業成長支援プラットフォーム「BanSo」の立ち上げから企画・開発として参加。
「なぜ起きたのか」を探る力を、仕組みに変える。
BanSoは、KPIやグラフの“気づき”を深掘りし、チームで共有・解釈できる仕組みを提供します。
数字を「ただ見る」から「行動を生み出す」に変える。改善を継続するための“現場で回る仕組み”を、一緒に形にしてみませんか。