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【第1回】見えている“数字”で、本当に見えてますか?―データ活用の第一歩

経営者として「数字を見ていない」方はほとんどいません。しかし、その数字から“何が起きているのか”まで見えているかと問われると、少し立ち止まる方も多いのではないでしょうか。今回のシリーズでは、現場で取り組める“データ活用の成長ステップ”を通じて、経営の判断精度を高める視点をお届けします。

Step 0〜6:データ活用の“成長ステップ”

経営における“データ活用”は一足飛びに進むものではなく、段階的に成長していくものです。本シリーズでは、以下のステップを軸に、現場で実践できる視点や手法を紹介していきます。

Step 0:感覚・経験だけで判断している(データは見ていない)
Step 1:売上・利益など結果の数字を見ている
Step 2:KPI(過程)を見るようになる
Step 3:グラフや比較で変化に気づける
Step 4:変化の原因を考察できる
Step 5:データを使って未来予測ができる
Step 6:データやツールが意思決定を支援する

じつはこの考え方、IPAの「成熟度モデル」とも重なっています

この「Step 0〜6」という枠組みは、IPA(情報処理推進機構)が公表する『データマチュリティ読本』に掲載されている「データ活用の成熟度モデル」(p.4)を参考に、筆者が経営現場でも直感的に使えるようアレンジしたものです。
※出典:IPA『データマチュリティ読本』 p.4(https://www.ipa.go.jp/digital/data/f55m8k0000005msd-att/dsa003-introduction-to-data-maturity.pdf

IPAでは、企業のデータ活用を以下のような段階(レベル)に分けて整理しています。

レベル1:意識していない・開始・受身・初期・実行された(例:勘と経験による判断)

レベル2:立ち上げ・拡大・開発中・管理された(例:問題が起きてから数字を見る)

レベル3:学習・定義されている(例:定期的にデータを確認する仕組みがある)

レベル4:開発中・進歩的・測定し管理している(例:変化に気づき、先手を打てる)

レベル5:習得・最適化された(例:データが戦略・判断の根幹になっている)

“データ活用の成長ステップ”のStep 0〜6は、これを“経営の現場で自然に使える言葉”に置き換えた形です。

たとえば──

  • 「なんとなく悪くない気がする」で判断している → Step 0(=レベル1)
  • 「毎月売上は見ているけど、理由はよく分からない」 → Step 1(=レベル2〜3)
  • 「データを見て、次の一手を考えられる」 → Step 5〜6(=レベル4〜5)

このように、ご自身の会社の「今の位置」と「目指す状態」がわかると、次のアクションが明確になってきます。

Step 0:“経験と勘”は大切。でも、それだけで判断していませんか?

「このやり方で20年やってきた」「なんとなく、今月は悪くない気がする」。
こうした“肌感覚”や経験値に頼った判断は、特に創業者・経営者にとって自然な行動です。

しかし、環境変化が激しい今、こうした感覚だけでは「気づいたら手遅れだった」という事態にもなりかねません。
たとえば、以下のような状態はStep 0に該当します:
– 数値は月次の報告書で一応見ているが、意識していない
– 現場の調子や感覚で施策を決めている
– 問題が起きても「勘」で対応してしまう
– 実際の損益や資金繰りの数値にズレを感じたことがある

この状態から脱するためには、「違和感を言語化」することが出発点になります。たとえば、「最近、お客さんの反応が鈍い」→「そういえば売上も減っている?」と、感覚を数字で裏付ける意識を持つこと。これがStep 1への第一歩です。

Step 1:数字を見る習慣が第一歩

「数字は見ている」と言っても、どの数字をどう見ているかは人によって異なります。
Step 1では、売上・利益など“結果の数字”を定期的に確認する習慣がある状態を指します。

たとえば:
– 月次の売上や利益の金額を毎月見ている
– 予実比較をざっくりでも確認している
– 粗利率などの基本指標に注目している

こうした状態にある方は、すでに「見ている」段階にあります。
ただし、この段階では「数字は見ているけれど、なぜ増えたか・減ったかはよく分からない」という声もよく聞きます。

数字を「見る」だけでなく、「意味を読み取る」段階へ進むことが、次のStep 2につながります。

 

予告:Step 2では「KPI」という“過程の数字”を扱います

売上や利益などの“結果”を見るだけでは、改善の打ち手は見えてきません。なぜなら、結果はすでに起きたことの“通知表”に過ぎないからです。

次回のStep 2では、「KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)」に注目します。これは、売上や利益を生み出す“途中のプロセス”を表す数字のことです。

たとえば、小売店なら:
– 来店者数
– 平均購入点数
– 商品別の転換率(来店→購入)

こうしたKPIを追うことで、「どこで止まっているのか」「どこを強化すべきか」がクリアになります。
数字を“過程”で捉えることが、打ち手の精度を変えていきます。
ぜひ次回もお読みください。数字は見ている。
でも“何が起きているか”分かりますか?

石川久史氏写真
投稿者 PROFILE

石川久史

BanSo開発

2010年にウイングアーク1st株式会社に入社。
BIダッシュボード「MotionBoard」の保守開発に従事する傍ら、事業成長支援プラットフォーム「BanSo」の立ち上げから企画・開発として参加。

経営の“感覚”を、“根拠ある判断”へ。

BanSo(バンソー)は、数字が苦手でも取り組める「経営の可視化」と「施策の見える化」を支援するプラットフォームです。
「今どのステップにいるか」「次に何をすべきか」が整理されることで、意思決定の精度が高まります。

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