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予実管理

「なんとなく不安な経営」から抜け出すための、予実管理の考え方

はじめに

予実管理という言葉を聞くと、どこか「難しそう」「自分にはまだ早い」と感じてしまう方も多いかもしれません。

けれど実際には、それは特別な人のための作業ではなく、日々の数字と、少しだけ丁寧に向き合うための「考え方」のひとつです。

これまでのコラムでも、予実管理の必要性や考え方について触れてきましたが、本記事ではあらためて、全体像を整理しながら、「なぜ必要なのか」「なぜ続かないのか」「どうすれば自分にもできるのか」という視点でまとめてみたいと思います。

第1章|予実管理って、実際のところ何なの?

「予実管理って大事なのは分かっているんです。でも、正直よく分からなくて……。」

起業して間もない経営者の方と話していると、ほとんど必ずこの言葉が出てきます。
売上、利益、経費。数字は見ているつもりだけれど、それを「経営にどう活かせばいいのか」は、誰もきちんと教えてくれないまま時間だけが過ぎていく。そんな感覚を持っている方も多いのではないでしょうか。

予実管理という言葉は少し硬く聞こえますが、やっていることはとてもシンプルです。
「こうなるはずだった数字(予算)」と「実際にそうなった数字(実績)」を並べて、その差を眺める。ただそれだけです。

大切なのは、ぴったり当てにいくことではありません。むしろ、ズレるのが当たり前です。
予定通りにいかなかった、その“ズレ”の中に、経営のヒントがたくさん隠れています。

たとえば、「今月は売上が計画より少し下がっていた」と気づいたとき。
そこで終わらせるのではなく、「なぜだろう?」と一度立ち止まってみる。集客がうまくいかなかったのか、客単価が下がったのか、あるいは単純に動きが鈍かっただけなのか。そんなふうに、自分の事業と対話を始めるきっかけになります。

予実管理とは、実は「数字を管理する行為」というよりも、
数字をきっかけに、自分の事業と会話をする時間なのかもしれません。

起業直後はとにかくやることが多く、売上をつくること、サービスを届けること、お客様対応に追われがちです。
だからこそ、こうした“立ち止まる時間”は後回しにされてしまいます。

でもそのまま走り続けていると、「なんとなく不安」だけが心の中に積み重なっていきます。
予実管理は、そのモヤモヤを言葉と数字にしてあげる作業でもあります。

難しい知識は、まだ必要ありません。
「予定と結果、何が違ったか」を見る。それだけで、すでに立派な予実管理が始まっています。

第2章|なぜ、多くの会社で予実管理が続かないのか

「最初はやろうと思っていたんです。でも、だんだん見なくなってしまって……」

これは、決して怠けているからでも、意識が低いからでもありません。
続かなくなるのには、ちゃんと“理由”があります。

一番多いのは、作業のハードルが高すぎることです。
Excelを開こうとした瞬間に「うっ」となる。どこを触るのが正解なのか分からない、間違えてしまいそうで怖い、修正に時間がかかりすぎる。そう感じてしまうと、数字を見ること自体がストレスになってしまいます。

もうひとつは、予実管理が「反省の時間」になってしまうことです。
「なぜ目標を達成できなかったのか」「もっと頑張れたんじゃないか」。そんな雰囲気が漂うと、数字を見るのがつらくなってしまいます。

本来、予実管理は誰かを責めるためのものではなく、「次はどうしようか」と一緒に考えるためのもののはずなのに、気づけば自分を追い込む時間になってしまう。これでは、続くわけがありません。

そしてもうひとつ、小さくない問題があります。
それは、数字があちこちに散らばっているということです。売上はこのシステム、経費は別のツール、広告費はまた別の場所に……。数字を集めるだけで一仕事になってしまい、「今日はもういいか」と先送りにしてしまうこともあるでしょう。

さらに言えば、予実管理をしても「それがどう改善につながるのか分からない」という不安もあります。
見ているだけで、何も変わらない気がしてしまうのです。

だからこそ大切なのは、完璧な予実管理ではなく、“続けられるかたち”の予実管理です。

第3章|初心者でもできる“最低限の予実管理”

では、どこから始めればいいのでしょうか。

最初から細かく分析しようとしなくて大丈夫です。むしろ、見ない項目を決めるくらいの気持ちで構いません。
まずは「売上」「利益」「経費」──この3つだけで十分です。

今月の売上はどうだったか。
利益は、思ったより残ったか、それとも少なかったか。
経費は、少し増えていないだろうか。

この3点を、ただ眺めてみる。それだけでも、いろいろな気づきが出てきます。

たとえば、売上は伸びているのに、なぜか手元のお金が減っている。
あるいは、数字上は悪くないはずなのに、心があまり安心していない。
そうした感覚は、案外当たっていることが多いものです。

予実管理は、正解を出すためではなく、「気づくためのもの」。
違和感に気づき、その理由を探り、来月に少しだけ活かしてみる。その繰り返しで、事業は少しずつ整っていきます。

ぎゅうぎゅうに詰めたノートも、高価なツールも必要ありません。
月に一度、30分だけ時間をとって、「今月はどんな月だったかな」と振り返ってみる。
それが、いちばんやさしく、いちばん効果のある予実管理の第一歩です。

第4章|「差異」は、失敗ではなく“ヒント”だった

予算と実績の差を見ると、少しだけ胸がざわつくことがあります。

「なんでこんなにズレたんだろう」
「また読みが甘かったのかな……」

数字は冷たいように見えるので、そのまま「自分のダメさ」を突きつけられているように感じてしまうかもしれません。でも、本当はその差異こそが、いちばん価値のある情報です。

たとえば、売上は計画通りに出ているのに、現金が思ったほど残っていない月。
数字だけ見ていると「まあ大丈夫か」と流してしまいそうですが、よく見ると、回収サイトが長い取引が増えていたり、仕入や在庫にお金が寝ていたりするかもしれません。

あるいは、利益は出ているのに、忙しさばかり増えていると感じるとき。
よくよく振り返ると、時間のかかる仕事を安く受けていたり、「本当にやりたい仕事」ではない案件が増えていたりすることもあります。

こうした“違和感の正体”を教えてくれるのが、予算と実績の差です。

差異を見るというのは、
「ダメだったところを探す作業」ではなく、
「いま、会社の中で何が起きているのかに気づいてあげる作業」だと捉えてみてください。

ズレがあるからこそ問いが生まれ、問いが生まれるからこそ、次の一手を考えられる。
予実管理は、「当てるためのゲーム」ではなく、「ズレから学ぶための対話」です。

第5章|数字を見る時間は、未来を考える時間に変わる

創業期の毎日は、とにかく“現在”でいっぱいです。

今日のお客様に喜んでもらうこと。
今月の売上をなんとかつくること。
来週の支払いをどう乗り切るか考えること。

その積み重ね自体は、とても大切な営みです。
けれど、ずっとそのまま走り続けていると、ふとした瞬間に「このままでいいのかな」と不安が顔を出します。

そんなときにこそ、数字を見る時間が役に立ちます。

たとえば、月末か月初に、30分だけ静かな時間をつくってみる。
コーヒーを淹れて、売上と経費と利益を眺めながら、今月の自分に問いかけてみます。

「今月、一番がんばったのはどこだっただろう」
「ちょっと気になった数字は、どこだったかな」
「来月は、どこにもう少し力をかけてみよう」

別に、かっこいい答えでなくてもかまいません。
「来月は、もう少し広告を絞ってみようかな」とか、「単価の高い仕事の比率を少し増やしたいな」といった、素朴な一言で十分です。

この30分は、過去を責めるための時間ではなく、
未来の自分に「ヒントのメモ」を渡してあげる時間です。

そのメモが1枚、また1枚と増えていくと、
「なんとなく不安だった経営」が、少しずつ「自分で選んで動いている感覚」に変わっていきます。

数字を見ることは、冷たい作業ではありません。
自分と会社の“これから”を考える、時間になります。

第6章|ひとりでも、続けられる。だからこそ意味がある

「うちはまだ小さいから、そこまでしっかりした予実管理は早いかもしれない」
「ひとりでやっているし、感覚でやっても何とかなっている」

そんなふうに感じることもあるかもしれません。

でも、実はひとりだからこそ、予実管理はすごく効いてきます。

大きな会社では、数字を見てから意思決定するまでに時間がかかります。
会議があり、根回しがあり、承認が必要になる場面も少なくありません。

一方で、ひとりや少人数の経営では、
数字を見て、考えて、動いて、また数字を見る、というサイクルをとても短い距離で回すことができます。

これは、創業期の大きな強みです。

もちろんその反面、誰もツッコミを入れてくれないという怖さもあります。
「なんとなく大丈夫そうだから」と流してしまった判断が、そのまま積み上がっていってしまうこともあるでしょう。

だからこそ、数字を「自分に正直なパートナー」として、ひとりでもそばに置いておく。
毎月一度、少しだけ緊張感を持って向き合う。

それだけでも、経営のブレ幅はだんだんと小さくなっていきます。

予実管理は、派手なテクニックではありません。
でも、ひとりで続けてきた人ほど、あとから「あの習慣があってよかった」と振り返ることになるはずです。

第7章|予実管理を“仕組みとして続けたい”と思ったときに

ここまで紹介してきた予実管理は、ノートやExcelだけでも十分に実践できます。
特別なツールがなくても、「気づき続ける習慣」さえあれば、それはもう立派な予実管理です。

ただ、事業が少しずつ広がり、関わる人や動くお金が増えてくると、こんな感覚が生まれてくることもあります。

「集計に時間がかかりすぎて、本来考えるべきことに手が回らない」
「数字は見ているけれど、そこから先の“次の一手”がなかなか見えない」
「この判断、本当にこのままでいいのかなと、ふと不安になることが増えてきた」

それは、あなたがきちんと経営と向き合っている証拠でもあります。

この段階に来たときは、「より続けやすくするための仕組み」を考えてみるタイミングかもしれません。
たとえば、数字の集計や可視化の手間を減らしたり、第三者の視点を取り入れたり、決めた行動を管理できる環境を整えたり。
予実管理は「方法」を変えるだけで、ぐっと続けやすくなります。

もちろん、それは大きなツールに限りません。
今のやり方を少し見直すだけでも、十分な改善になることもあります。

大切なのは、「完璧にやること」ではなく、自分にとって続けられる形に近づけていくことです。

予実管理は、あなたの中にある「感覚」と「数字」をつなぐ架け橋のようなもの。
ノートで渡るのか、Excelで渡るのか、あるいは仕組みやサービスの力を借りて渡るのか。その選び方は、すべてあなた次第です。

ただひとつだけ、忘れないでいたいのは、

「数字から目をそらさない」と決めること。

その決意さえあれば、方法はあとからいくらでも整えていくことができます。

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この記事の内容を、もう少し深く・具体的に知りたい方に向けて、予実管理まわりのコラムもあわせてご紹介しておきます。リンクや配置は、実際の公開時に調整してもらえればOKです。

気になるテーマから、ぜひ続きのコラムも読んでみてください。
一つひとつの理解がつながっていくほど、数字はきっと、心強いパートナーになってくれるはずです。

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